民族楽器を扱っていると、(弦楽器の場合は)弦をどうするかが課題になります。民族楽器の中でも比較的メジャーなものであれば、その楽器用の弦を購入することができます。しかし、ものによってはどこを探しても売ってない、なんてことも…
まずはネットで探してみる
近所の楽器店で弦を購入できる…なんて、よほど恵まれた環境でもない限りないでしょう。しかし、ネットとなれば話は別です。
日本のネットショップでも民族楽器を扱っているところが少しですがありますし、Amazonなんかでもある程度メジャーなものであれば売っています。
さらに、ebayに手を出せば世界規模なので、見つかる可能性も高くなります。
※ちなみに、私もebayはよく使うのですが、常識的にあまりに安すぎるものは届かない可能性が高いです。今まで何度もトラブルに遭っています。しかし、ebayはちゃんとした流れにのっとれば保障してくれます。なお、ebayも最初はまず出品者と調整しろと言ってきますが、この時出品者が新しい商品を発送すると言ってきたり、保証する代わりに先にいい評価をつけろと言ってきた場合は注意した方がいいかも知れません。私も昔言われるままに先にいい評価をつけたのだけど、結局代替品は送られず、待っている間にebayの保証期間を過ぎてしまった…なんてことがありました。ちなみにこの出品者はよい評価も非常に多かったので、「よい評価が多い=安心」は成り立たないことを学びました。
他の弦で代用できないか?
さて、ネットでその楽器用の弦を見つけることができれば、それを買えばいいわけですが、なかった場合。どうすればよいでしょうか?
一番簡単なのは、市販の弦(別の楽器用のもの)を代用することです。
弦にも色々種類があるので、一概には言えないですが、鉄弦・ナイロン(ここでいうナイロンはバイオリンでいうところのものではなく、クラシックギター等で使用される裸のナイロン弦のことです)ならば、ギターのものが使用できないか検討します。
この時便利なのが、マイクロメーターです。マイクロメーターは以下のような器具で、1mm以下の細かいものを測ることができます。弦の太さを測るなら、0.001mmが測れれば十分です。以下の写真のものはAmazonで4000円くらいで買えました。誤差が±0.003mmありますが、まぁ大丈夫です。
※うちの子は↑これですが、2023/3現在在庫切れとなっています。マイクロメーターで探せば見つかるので、欲しい人は検索してみてください。なお、この子電源OFFの時も電池食うようなので、使い終わったら電池外すの推奨です。
このようなマイクロメーターで弦の太さがわかれば、同じまたは近い太さの弦を買うことができます。
※厳密には同じ太さの弦でも素材により同じ張力で張った際の音は変わりますが、あまり気にすると何もできなくなるので私は無視しています。
※さらに、弦は未使用の状態と、張った後で太さが変わります(多少伸びます)。私が調べた限りだと、5~10%細くなるようです。そのため、実際に計測した太さより、多少太めの弦を使った方がよいかも知れません。
例えば、測ってみて0.25mmであれば、ギターの.010のゲージの弦が使えそう…ということになります。
弦の太さが測れない場合
マイクロメーターを持っていない、そもそも入手時から弦が張っていなかった…という場合は、上の方法は使えません。また、場合によっては入手時に弦が張ってあっても、誰かが適当に張った、使い物にならない弦かも知れません。
こんな時は、弦長と合わせたい音から、どの弦が代用できそうか計算します。
例えば、ギターは弦長が大体630mm~650mmくらいです。弦は長さが半分になると音が1オクターブ上がり、2/3なら5度上、3/4なら4度上くらいの音になります。なので、弦長が430mmくらいでギターの1弦より高いシの音に合わせるのであれば、ギターの1弦が使える、ということです。
またこの時±1音くらいなら気にしなくていいと思います。±2音くらいだと、気になるけど頑張れば使える範囲と思います。
上記計算方法は説明がちょっと複雑なので割愛しますが、手元にギターがあるようでしたらブリッジ~目的の音までのフレットまでの距離を測ってしまうのもいいかも知れません。
ちなみに、こんな表を作ってみました。
これは、弦長648mmを基準として、音が変わると弦長がどうなるか、です。
上に書いてあるエレキ、アコギは、テキトーに見つけたレギュラーゲージのmm表記です。
背景色は音高です。C4が、ピアノでいうところの「真ん中のド」です。
市販の弦が代用できない場合
今回一番書きたかったのがこれです。
ギターなどの市販の弦が代用できるなら、代用すればよいのです。
でも、代用できなかったら?
つい最近、ラワープという民族楽器に弦を張りたかったのですが、この楽器は全長が90cm以上あります。弦の長さは全長よりたくさん必要で、1mあっても正直足りません。ギターの弦で代用…と思ったのだけど、長さが足りませんでした。
そこで私がとった手は、市販のステンレス線を使用することでした。
そこで買ってきたのがこのような線。近所のホームセンターで100円くらいでした。
結論から言うと、このような線は弦にはできません。なぜかというと柔らかすぎてすぐに調弦が狂うのです。実際、調弦する際も、ある一定の高さの音になるといくらペグを回しても音が全然上がらないんです。(弦が柔らかいため、非常によく伸びるのでなかなか目的の音にならない)これでもかというくらいペグを回し続け、ようやく目的の音にチューニングできた…と思っても気が付くと音が下がってしまう状態でした。
なお、その時は0.35mmの線と使ったのですが、調弦した後に太さを測ると0.32mmになっていました。単純計算で、調弦後には長さが20%近く伸びたことになります。弦の長さは1m以上あったので、20cm以上伸びたことになります。(計算して正直自分でもびっくりしたのですが、あのいくらペグを回しても音が高くならない感じは、確かにそのくらい伸びたといわれて納得できるものでした)
ピアノ線を使え!
普通の線で柔らかくてだめなら、固い線ということで、ピアノ線の存在を知りました。ピアノ線って、名前だけ聞くとピアノ専用に思えるのですが、総称みたいなところがあり、近所のホームセンターでも売っていました。
実際に購入したのがこちらです。250円くらいでした。実際に楽器に張ってみたところ、通常のギターの弦のような感覚で使えました。
ただ、これより細い弦は近所では売っておらず、ネット通販を活用する必要がありそうです。
なお、こう言った弦だけでなく、一部の弦は数十メートル単位の長さで売っているようなので、そちらを使うのも手です。私が調べた限りだと、日本のネットショップでも、シタールの弦なんかでおそらく数十メートルの長さがあると思われるものが売っていました。ただし、ちょっと割高ですけどね。
追記、 星和鋼線さんで0.2mm等の細いピアノ線を購入することができました。400mくらいあってそんなにいらない!という感じなのですが、1500円(送料別)で購入できました。
ナイロン弦の場合
上記は鉄弦の場合です。
ナイロン弦の場合は釣り糸が使えます。
ちなみに、楽器に使うような太い釣り糸は、釣具屋さんでもあまり置いてないので注意してください。
私はAmazonで買いました。
まとめ
民族楽器の弦を探すとき、まずはネットで探しましょう。ebayを使えると、世界が広がります。
ネットで見つからなければ、市販のギターなどの弦で代用できないか考えます。
それでもどうしてもだめなら、ピアノ線を探しましょう。これは弦代わりに使えます。
民族楽器を扱おうとすると、弦の問題は常に付きまとうので、こういった解決策を持っておくと、色々と対応ができるようになります。
そして、マイクロメーターもできれば一つ持っておきたいですね。