タブラ ~不思議な太鼓

インドにはタブラという太鼓があります。
インド古典音楽では、シタールの相棒としてよく登場する太鼓です。
※インドだけでなく、その周辺の地域でも使うようです。

写真左側はバヤン、右がタブラ。これらは2個セットの楽器で、2個セットでもタブラ、と呼びます。
一説には世界一難しい打楽器と呼ばれるこの楽器。叩き方で様々な音を出すことができます。

鼓面

タブラの表面は以下のようになっています。スヤヒは、米粉と鉄粉を混ぜたもので、重りの役割を果たします。スヤヒが肝となって、色々な音を出すことができるようになります。

スヤヒは湿気に弱いため、手汗でもダメになります。なので、タブラを叩く時はベビーパウダーなどを手に付けて、水分がつかないように気を使います。手汗が多い人は大変です!

(以前、「題名のない音楽界」という番組で、U-Zhaanさんが出演した際、共演者が「タブラを叩いてみたい」と懇願するも、U-Zhaanさんによる手汗チェックの結果「ビッチョビチョじゃないですか!」と断られているシーンがありました。「後に家に来てください」とフォローされていましたが…そのくらい手汗には気を遣うのです)

タブラボル

タブラの演奏を見たことがある人は、演奏者が 「ダーテレケダー、ダゲナダゲナ」とか言っているのを聞いたことがあるかも知れません。タブラの音を口で言った言葉で、「ドードーソーソーラーラーソー」というようなものです。これを「ボル」といいます。

タブラ(右)は、スヤヒ(真ん中の黒い部分。鉄と米粉で作るそうです)のふちに軽く薬指を置き、キナール(一番外側の皮)を叩いてハーモニクスを得るNa。スヤヒの中央付近を中指で叩くTun。その他にもTeTe、Neなどいろいろな音があります。

バヤンは、スヤヒの上付近を指で叩くGe、手のひらで押さえつけるように叩くKaなどがあります。さらにGeの直後に手首で皮を押し、音程を変える技法もあります。

さらに、タブラとバヤンの組み合わせもあります。Na+Ge=Dha、などです。


こちらは試しに叩いたものです。(下手ですよ、念のため)

Dha Ti Dha Dha Tun Na Ti Dha Ti Dha Dha Ti Dha Dha Tun Na

とかそんな感じで叩いています。(確か)

ちなみに、流派によっても音の呼び名が違うようです。さらに言うと、同じ呼び名で違う叩き方をしたり(同じ流派の、一つのフレーズの中で!)、同じ音なのに呼び名が違うこともあります。例えばNaとTaは全く同じです。昔先生に聞いたときは、「言いやすさで変わることもある」と言っていました。

本場のレッスンでは、先生はただ座って、上記の用な音の名前でフレーズを言い、生徒がそれを叩く、という感じらしいです。なので頑張って覚えなくてはいけないのですが、最近の生徒はボイスレコーダーで録音するとか…

※ちなみにタブラ奏者が口にするボルはびっくりするくらい早いです。ちなみに昔タブラの先生に聞いたところ「大事なところははっきり言うけど、そうじゃないところはうにゃにゃにゃ~みたいな感じになっちゃう」とのことでした。

チューニング

タブラはチューニングが必要な楽器です。通常、Naの音の高さを曲の主音に合わせるそうです。

じゃぁ、一人で練習するだけならチューニングなんていらない!って思うかもしれませんが、そんなことはない。チューニングしないと音が響かないので、あまり練習にならない(というか楽しくない)のです。

チューニングには、チューニングハンマーというものを使います。

なければ、最悪普通の金づちでもなんとかなります。
大きく音を変えたい場合はグッリー(タブラの横の円柱状の木)を、ちょこっとだけ変えたい場合は淵の部分を叩きます。淵の部分はコンコンと軽くたたく程度で大丈夫です。

音を上げたい場合は上から、下げたい場合は下から叩きます。

タブラはNaの音を叩きながら淵を一周し、すべてのNaの音が同じ高さになるように合わせます。そうしないと、Naの音が響きません。バヤンの場合は適当に淵を叩きながら一周し、こちらもすべて同じ高さになるようにします。

なお、中古で購入して皮がダルダルなんだけど…とか、もっともっと音を高くしたい!なんて場合は、一度グッリーをすべて外し、革ひもを締めなおします。ものすごく力が必要で疲れる作業です。

最後に

さて、ここまで文字と下手な録音だけだったので、Youtubeのリンクを張っておきます。こちらザキール・フセインという、タブラ界のトップの人の演奏です。

https://www.youtube.com/watch?v=kHa8r2esEU4

すごすぎ…